篠山の方言アラカルトーそんなんだんないてや

他人のミスで軽い迷惑を被ったとき、他人に気を使わせそうなとき、この言葉を使います。
例えば「先日はうちの息子が遅くまでお邪魔したそうで・・」とか「少しの間、ここに車を止めていいですか」などといわれたときの応答に使われています。
 
「そんなんだんないてや」「だんない、だんない・・」
 
この「だんない」は以前このコーナーで紹介した「べっちょない」と並んで篠山の会話の中の常連客です。「べっちょない」は「だいじょうぶ(OK)」という意味、「だんない」は「だいじょうぶ(DO NOT MIND)」という意味で一般で使われます。そのちがいはある怪我をされた人との会話などでよく分かります。
 
「おい、べっちょないか」と言うと怪我人は「べっちょない、べっちょない」。そして「病院へ連れて行ったろか」と続いて言うと「そんなだんない、だんない」と怪我人は答えます。
困った人を見かければ「べっちょないけ」と問いかけ、困った人は「だんないてや」と感謝の気持ちで答えるものです。つまり気くばりから出た「だんない」は、日頃の会話にとても大切なものなのです。
 
このような言葉のキャッチボールが人間関係では大切なはずなのに、近頃は困っている人を見た方が「だんない」とひとりで呟き、知らんぷりを決め込むような風潮が「田舎もん」のプライドを捨てた「都会かぶれ」の人達にはとてもトレンディらしいのです。
物が溢れて豊かになったのは、みんながあったかい心を売り渡したからでしょうか。せめて温かい言葉だけは、風化させたくないものです。
 

このページの先頭へ戻る