○丹波篠山市議会基本条例

平成23年12月22日

条例第29号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第5条)

第3章 市民と議会の関係(第6条―第12条)

第4章 議会と行政の関係(第13条―第16条)

第5章 自由討議の保障(第17条・第18条)

第6章 政務活動費(第19条)

第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第20条―第23条)

第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第24条―第26条)

第9章 最高規範性と見直し手続き(第27条―第29条)

附則

地方議会は、二元代表制の一翼を担う住民代表機関として、民意を幅広く吸収し、様々な争点を政治過程にのせることにより、市民福祉の向上を推進していくことが期待されている。また、地方分権、地域主権時代を迎え、地方公共団体の自己決定、自己責任の範囲が拡大したことにより、地方議会は持てる権能を充分に駆使して、行政監視機能と政策立案機能を充実、強化し、最良の意思決定に導く必要がある。

丹波篠山市議会(以下「議会」という。)は、これまでの取り組みを更に前進させ、地方分権、地域主権時代における議会が担うべき役割を果たすため、平成20年6月に議会のあり方研究会を設置して、議会改革に取り組んできた。

私たちは、先人がこれまで連綿と築いてきた議会活動の歴史と伝統を尊重するとともに、丹波篠山市の未来に向けた新たな価値の創造に責任を持たねばならない。そのためには、不変と可変を見極めた上で、改革を将来にわたって担保し、たえず見直し発展させる必要がある。このような認識のもと、不断の努力を重ね、市民に開かれた身近で信頼される議会、市民の負託に応えられる議会の実現を目指して、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会運営及び議員に係る基本事項を定め、議会及び議員の活動により、市民が安心して生活できる豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、市民参加の機会の拡充に努めること。

(3) 把握した市民の多様な意見をもとに政策提言、政策立案等の強化に努めること。

(4) 市民本位の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。

(5) 議会運営は、市民の関心が高まるよう、分かりやすい視点、方法等で行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、市民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福利の向上を目指して活動すること。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、必要に応じ会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

(議会改革に関する仕組みの設置)

第5条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する会議を設置する。

第3章 市民と議会の関係

(会議の原則公開と議会運営の情報開示)

第6条 議会は、本会議、常任委員会及び議会運営委員会のほか、すべての会議を原則公開とする。

(行政視察)

第7条 委員会は、行政の基本的施策等について提言し、市民の利益の実現を図るため、他自治体等の先進事例を研修することにより市政に反映するものとする。

2 委員会は、行政視察終了後速やかに報告書を作成し、議長に提出するとともに本会議で報告し、議会広報等により市民に情報の公開をするものとする。

(傍聴者への配慮と資料の配付、貸与)

第8条 議会は、会議に当たって資料等を積極的に公開しながら、市民に対して分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

(参考人制度の積極的活用)

第9条 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会における参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

(請願者、陳情者からの意見聴取)

第10条 議会は、請願及び陳情を市民からの政策提案として受け止め、審議等に当たっては請願者及び陳情者に説明の機会を設け、当該請願者及び陳情者の意見を聴くものとする。

(市民参加及び市民との連携)

第11条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、情報の共有を推進するとともに、説明責任を十分果たさなければならない。

2 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

(議会報告会)

第12条 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。

2 議会報告会に関することは、別に定める。

第4章 議会と行政の関係

(緊張関係の保持と一般質問)

第13条 議会審議における議員と市長等執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)は、緊張関係の保持に努めなければならない。

2 本会議における議員と市長等の質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。

(市長等への反問権の付与)

第14条 本会議及び委員会において市長等は、議員の質問等に対して、議長等の許可を得て、論点を確認するため反問することができる。

(提案説明資料の充実)

第15条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 市民参加の実施の有無とその内容

(5) 総合計画との整合性

(6) 財源措置

(7) 将来にわたる効果及び費用

2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。

(議決事件の拡大)

第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の議会の議決事項については、代表機関である議会が、市政における重要な計画等の決定に参画する観点と、同じく代表機関である市長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、次のとおり定めるものとする。

(1) 市民憲章の制定又は改廃に関すること。

(2) 市花木等の制定又は改廃に関すること。

(3) 各種のまちづくりに関する宣言の制定又は改廃に関すること。

(4) 姉妹都市又は友好都市の提携又は解消に関すること。

(5) 総合計画における基本構想及び基本計画

(6) 前各号に掲げるもののほか、総合計画の施策体系に示す各分野の基本的な計画(行政内部の管理に係る計画、特定の地域を対象とする計画及び計画期間が5年未満の計画を除く。)の制定又は改廃にあたって、議長が必要と認めるもの。

2 議会及び市長等は、前項に掲げるもののほか、必要があると認めるときは、議決事件の拡大について協議するものとする。

第5章 自由討議の保障

(議員間討議の積極的な活用)

第17条 議会は、議員による討論の場であることを認識し、議長は、議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。

2 議会は、本会議及び委員会において議員提出、委員会提出及び市長提出の議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間において十分な討論、議論を尽くして合意形成に努めるものとする。

(政策討論会)

第18条 市政に関する重要な政策及び課題に対して、議会としての共通認識の醸成を図り、合意形成を得るため、政策討論会を開催する。

2 政策討論会に関することは、別に定める。

第6章 政務活動費

(政務活動費の使途の公開)

第19条 会派の代表者及び議員は、丹波篠山市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年篠山市条例第3号)第1条の規定により調査研究その他の活動に資するために政務活動費の交付を受けたときは、会計帳簿、領収書等を整理し、その使途の透明性を確保するものとする。

2 政務活動費の交付を受けた会派の代表者及び議員は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たすよう努めるものとする。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修会の実施)

第20条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との議員研修会を年1回以上開催するものとする。

(事務局の拡充、整備、機能強化)

第21条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制機能の充実を図るものとする。

2 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な人員及び予算の確保に努めるものとする。

(議会図書室の設置、充実)

第22条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。

(議会広報等の充実)

第23条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。

第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第24条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、市民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

(議員定数)

第25条 議員定数は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点及び他市との比較だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を十分に活用するものとする。

(議員報酬)

第26条 議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、行財政改革の視点及び他市との比較だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を十分に活用するものとする。

第9章 最高規範性と見直し手続き

(最高規範性)

第27条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行わなければならない。

(議会及び議員の責務)

第28条 議会及び議員は、この条例の理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される議会関係条例等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続き)

第29条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するものとする。

2 議会は、前項の検証の結果、議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとする。

附 則

(施行期日)

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

附 則(平成24年12月21日条例第42号)

この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する政令で定める日から施行する。

丹波篠山市議会基本条例

平成23年12月22日 条例第29号

(平成25年3月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成23年12月22日 条例第29号
平成24年12月21日 条例第42号